公衆接遇弁償費は、警察が交番で利用者から借りることができる行政機関の貸付制度
警察には、財布を失くしたり、盗難にあったり、緊急時にお金を借りることができる公衆接遇弁償費という制度があります。これは、紛失や盗難などによって財布がなくなり困った一般市民向けの貸付制度で、帰路につくための交通費を一時的に借りることができます。財布を失くした人にとっては、警察官は手続きを迅速かつ親切に進めてくれるため、身構える必要はありません。
公衆接遇弁償費を利用するには、遺失届または盗難届を提出すると同時に、帰るお金がない旨を相談することで、上限1,000円まで借りることができます。公衆接遇弁償費は、交番や警察署ではもちろん、パトカーでも対応してもらえます。警察に対して、悪い印象を持っている人もいるかもしれませんが、実は50年以上も前から導入されている正式に認められた貸付制度であることをご存知でしたか?誰でも利用できるので、家に帰れずに途方に暮れていると感じたときには、公衆接遇弁償費を利用することを検討してみましょう。
借り入れをする理由が、交通費や負傷者の救護にかかる経費であれば、利用が対象となります
交番や警察署でお金を借りるには、正当な理由が必要です。よくある理由は、財布を紛失して交通費が足りなくなったということです。近年、電子系ICカードが壊れたり、スマホが故障して電源がつかなくなったりすることで帰宅が困難になる人も増えています。
キャッシュレス化が進む現代では、思わぬトラブルで現金を持ち歩かなくても生活できると思われがちですが、それでも時にはお金を借りる必要がある場合もあることを覚えておくとよいでしょう。警察官に相談すれば、自分に非があったとしてもお金を借りることができますが、他に対処法がある場合は借りることができませんので、注意してください。
もし他に対処法があるときや、公衆接遇弁償費が資金不足のときは、借りることができません
公衆接遇弁償費は、税金を財源として貸し出される制度です。そのため、所持金が残っている場合や、他に対処法がある場合には、公衆接遇弁償費の利用よりも優先されるように指導されます。また、警視庁は公衆接遇弁償費に充てられる予算を決めているので、資金が底をついていると制度の利用ができないこともあります。ただし、公衆接遇弁償費が資金不足により利用できない場合でも、警察官が個人的にお金を貸してくれる可能性があります。
公衆接遇弁償費の導入を正式に発表しているのは9都道府県のみ
公衆接遇弁償費は、各都道府県によって導入の有無が異なります。東京都、北海道、岩手県、山梨県、大阪府、京都府、石川県、群馬県、熊本県の警察本部が公衆接遇弁償費を導入していることを公式に発表しています。
上限1,000円まで電車賃や電話代に充てるお金として借りられる
交番で借りられるお金は、原則1,000円までです。これで電車賃や電話代を支払うことができます。注意してほしいのは、交番に設置されている電話は公共の電話であるため、借りることはできません。そのため、家族や友人に連絡する場合は、借りたお金を使って公衆電話から連絡することをおすすめします。一部の地域では、電車賃が高いことから1,000円を超えるお金を借りることもできる場合があります。